case 症例
10歳男の子 痛みが出ている重度のむし歯を神経(歯髄)を抜かない治療法を用いて改善した症例
2025.06.27治療前
治療中
治療後
その他
| はじめのご相談内容 | 「歯が痛い。できれば歯の神経は抜かずに残してほしい」とご相談いただきました。 |
|---|---|
| 診断結果 | レントゲン撮影をして詳しく拝見したところ、痛みが出ている右下奥歯には大きな虫歯があり、歯の神経である「歯髄」に近いところの歯質「象牙質」にまで及んでいました。 何も刺激を与えていないのに痛みを感じる「自発痛」が生じていたこともあり、虫歯が歯髄に達し重度の炎症を起こす「不可逆性歯髄炎」を発症しているおそれがあります。 不可逆性歯髄炎の場合は歯髄の回復が難しいため、歯の神経をすべて取る「抜髄」を行う必要がありますが、炎症が部分的であれば、一部の歯髄だけを除去して神経を温存することが可能です。 歯髄を除去すると歯に栄養が届かなくなり、歯自体がもろくなってしまいますが、患者様はまだ若く歯髄の細胞が活発であることから、歯髄を保存できる可能性があります。そのため、早急に虫歯治療を開始する必要があると診断しました。 |
| 行った治療内容 | 歯髄を抜かずに治療するため、虫歯の大きさに関わらず歯髄をなるべく残す「生活歯髄療法」を提案しました。 歯髄を残すことで歯を長く丈夫に保つことができますが、慎重に経過を確認しながら治療を行うため、治療期間が長期に及んだり、治療後の経過が悪い場合は痛みが生じて抜髄になったりするおそれがあります。 生活歯髄療法のメリットとデメリットを丁寧に説明したところ、患者様は生活歯髄療法による治療を希望されました。 まずは麻酔を行い、唾液や雑菌が入らないように治療部位をゴムのシートで保護する「ラバーダム防湿」を施したうえで、虫歯の除去を開始します。 専用の器具で慎重に虫歯を除去していたところ患者様が痛みを訴えたため、歯髄が露出する手前の虫歯が少し残っている状態で、穴の中に殺菌性がある薬剤「水酸化カルシウム」を貼付しました。 虫歯を少し残した状態で歯の神経が露出しないように保存する方法は、生活歯髄療法の中の「暫間的間接覆髄法」と呼ばれる治療です。薬剤の効果によって、歯髄の上に新しい象牙質「修復象牙質(第三象牙質)」の形成が期待でき、歯髄を保存できる可能性が見込めます。 また、患者様は口内に異物を感じると吐き気を催す「嘔吐反射」があり、ラバーダムを長時間装着することが困難だったため、治療は迅速かつ丁寧に行いました。 暫間的間接覆髄法を行ってから2ヶ月後、歯に冷たい刺激を与える「コールドテスト」に反応が見られたため、歯髄が生きていることが確認できました。 暫間的間接覆髄法から9ヶ月経過した時点でレントゲン撮影を行った結果、修復象牙質が認められたため、残していた虫歯の除去を行います。 再び麻酔をし、虫歯をすべて取り除いたところで歯髄が露出したため、部分的に歯髄を取り除く「部分断髄法」を行いました。部分断髄法も生活歯髄療法のひとつで、虫歯に近い部分の神経のみを除去するため、歯髄の多くを温存することが可能です。 一層のみ歯髄を取り除き、強い殺菌力があり象牙質の形成を促す作用がある「バイオセラミック材料」を用いて、断髄部分をふさぎます。 その上から、歯に対して接着性があり高い強度をもつ「グラスアイオノマーセメント」でふたをして、さらにその上には白い歯科用プラスチックを詰めて光で固める「コンポジットレジン充填」を施しました。 部分断髄法を行ってから8ヶ月後、再度コールドテストを行うと反応が見られ、歯髄が生きていることが確認できました。 また、レントゲン撮影を行ったところ、断髄した面に象牙質が形成される「デンチンブリッジ」が認められたため、経過は良好であると判断しています。 その後、治療した歯の形を少し削って整え、コンポジットレジンより強度が高くしっかり噛める大きな詰め物「アンレー」を作製し、装着しました。 今後も、歯髄が正常に機能しているかどうか、経過観察を継続して行っていく予定です。 |
| このケースのおおよその治療期間 | 約5年 (現在も経過観察中) |
| おおよその費用 | 約100,000円 |
| 治療のリスク | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります |
症例カテゴリ: 子どものむし歯治療








